細かな戦術を不要にするグランドデザイン 〜始皇帝、カエサル、家康

グランドデザイン

こんにちは。
大中尚一です。

 

21世紀に入ってから、社会は大きく変わってきています。

 

Volatility(変動性・不安定さ)・Uncertainty(不確実性・不確定さ)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つの単語の頭文字から取った言葉であるVUCA(ブーカ)という言葉が表すとおり、震災や新型コロナの発生、DX(デジタル・トランスフォーメーション)など、私達を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。

ビジネス・仕事においてもそれは同じ。1年前に通じていたスキルが今日にはもう通用しないという状況も当たり前になりつつあります。

 

時代に乗り遅れまいと、最新の知識や技術を追いかける人も多いかと思います。

もちろん、最新の情報に触れ、自分をアップデートし続けることは極めて大事です。人生100年時代に最も必要なスキルが“戦略的学習力”とされているように、学び続け変わり続けることはとても大事。

 

ただ、その前提として、グランドデザインを描いておく必要があります。

自分はどこにむかうのか、なにを為したいのか。

自社は何を成し遂げたいのか、どんな世界を作って顧客を幸せにしたいのか。

 

そういった全体構想がないままに最新の情報を取り入れるばかりだと、あっちにフラフラこっちにフラフラと軸が定まらず、何もなせないことになりかねません。

 

中国・ヨーロッパ、そして日本。

世界の中でも重要な位置を占めるこれらの地域は、何百年・何千年も前に描かれたグランドデザインに沿って社会が形作られています。

ここでは、それらをケーススタディとして、全体構想・グランドデザインの有用性・重要性について解説します。

 

二千年間本質が変わらない中国

隣国の大国・中国。

現在は共産党による一党独裁体制が敷かれていますが、この国の基本的な体制は二千年以上変わっていません。

 

中国の統治の特徴は

・皇帝独裁による中央集権

・文書行政・官僚制

・法治主義(ただし、思想的には儒教による徳治主義を建前とする)

 

にあります。

秦の始皇帝が中華を統一して全土に広めたこれらの枠組みは、いまも変わることなく中国の統治の根本になっています。

中国のグランドデザイン

『キングダム』によって始皇帝(秦王・政)へのイメージがだいぶ変わったと思いますが、かつては始皇帝といえば焚書・坑儒をおこなった悪逆非道な統治者というイメージでした。しかしこれは、秦のあとに中国を統治した漢が自らの正当性を主張するためのイメージ操作をした結果。始皇帝はとんでもないやつだった。だから始皇帝が築いた秦に代わって平和な世を作ったのが漢は素晴らしい! そうやってみずからの正当性を主張するために始皇帝の事績を故意に貶めました。

しかし秦の後継国家である漢も、結局は始皇帝が設計したグランドデザインに沿って国造りをせざるを得ませんでした。それだけ始皇帝の作り上げた国家の全体構想がすぐれていたということです。

 

以来二千年以上、中国は始皇帝が作り上げたグランドデザインに沿って存在しています。

すぐれたトップによるグランドデザインがいかに影響力の強いものか示す例だと言えます。

 

海を超え、時をこえてアメリカに受け継がれたカエサル・アウグストゥスの統治思想

ヨーロッパ文明の源流となったのは、古代ギリシア・ローマ文明です。

その土台のもとにキリスト教が加わり、現在に至る欧米文明が築かれました。

 

思想や文化のベースはギリシアが

進行・精神のベースはキリスト教が

それぞれ形作っていますが

政治的なベースは、古代ローマがベースになっています。

 

そしてその土台を作り完成させたのが、ユリウス・カエサルとその後を継いだアウグストゥス。彼ら親子(義理の)が、今に至るヨーロッパの統治体制の原型を形作りました。

 

もともと古代ローマは共和政体をとっており、独裁を嫌いました。

しかし、国土が広がり統治下の民族が増えてくると、ある程度独裁的にトップダウンで決めるほうが効率が良くなります。

 

それを見抜いて、後に「帝政」とよばれる政体を敷いたのがカエサルとアウグストゥス。かなりの強権を持つトップ(元首)が、元老院とよばれる社会のエリート層からなる集団に意見を図りつつ、民衆の意を組んで政治を行う体制を確立しました。

 

元首を大統領に、元老院を議会に、そして民衆を国民と言い換えれば、そのまま現代のアメリカに当てはまります。

アメリカは民主主義の国といいますが、じつはなんのことはない、カエサルが構想しアウグストゥスが作り上げた元首制を、海を超え時代を超えて踏襲しているに過ぎないとも言えます。

それだけカエサルとアウグストゥスが描いたグランドデザインが秀逸だったという証。カエサルとアウグストゥスは、始皇帝に並び、偉大なデザイナーだったと言えます。

 

江戸時代の前と後で大きく変わった日本

日本は、江戸時代に入る前とその後で、様相を大きく変えました。

戦国時代までは、宗教勢力が世俗の権力よりも遥かに生臭く、そして強大でした。また、外国との交流に特に制限もなく、程度の差はあれど、実力主義的なところもありました。

 

なんといっても、人の命が軽かった。

かの水戸黄門(徳川光圀)は、まだ戦国の気風が色濃く残っていた江戸時代初期の若い頃、刀の切れ味を試すために夜な夜な辻斬りをしていたという話があります。

 

しかし、江戸時代に入ってからは、ほとんど間逆といって良い状態になります。

宗教勢力は大きく力を損ない、葬式仏教と言われることになりました。外国との交流は鎖国体制で制限され、身分差ははるかに強固になり、身分の流動性は極端に低くなりました。

そして人の命がものすごく重くなりました。

 

この違いをもたらしたのが、江戸幕府の創始者である徳川家康です。

豊臣家にかわり天下を統一した彼は、二度と争いを起こさない、徳川の世がひっくり返らないような強固な統治体制を敷きました。

信長や秀吉に叩き潰された宗教勢力を完全に骨抜きにし、キリスト教を制限抑圧。また朱子学を導入し、下克上が起きることのないよう身分制を徹底しました。

その方針が引き継がれたり強固になり、鎖国体制を強化されていき、また五代将軍綱吉による生類憐の例で、人命が尊重される社会になりました。

 

そして日本は家康から綱吉の代に作り替えられた性格そのままに現在に至っています。

家康のグランドデザインの上に、今の日本社会があると言っていいのではないかなと思います。

 

強固なグランドデザインは、細かな戦術を不要にする

中国、欧米、そして日本。

世界の中でも強国だったり豊かだったりする国・地域は、いずれも過去に作られたグランドデザインのもとに歴史を刻んできました。

グランドデザインが強固だったからこそ、大国になれたし継続できたと言い換えてもいいかもしれません。

 

グランドデザインが描かれた、そのあとの政治思想や体制は、すべてそのグランドデザインに合うように作り変えられたものに過ぎない。そうとも言えるかもしれません。

 

それだけ優れたグランドデザインは強固でかつ強力なもの。

もしそんなグランドデザインが描けたらならば、この先社会がどう変わったとしても、組織・企業はしぶとく存続し続けられるのではないでしょうか。

 

自分はどこにむかうのか、なにを為したいのか。

自社は何を成し遂げたいのか、どんな世界を作って顧客を幸せにしたいのか。

 

そういった全体構想を描くことが、起業家・事業家の大事な役割だと思うのですが、どうでしょうか。

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運営会社 株式会社ジャスティス
代表取締役 大中尚一
所在地  大阪府高槻市古曽部町
事業内容  経営コンサルティング・研修/セミナー事業・Web製作/マーケティング事業